はじめに。
久々にブラジリアン柔術のキッズの大会が開催された。さっそくエントリーしたナツオ@小3。久々の大会に最初こそ緊張していたものの、冷静な試合運びでトーナメントを駆け上がり、3連勝して見事優勝することができた。白帯、年代、体重と細分化されたカテゴリーの中の話だが、立派な日本一!よく頑張った!
当日までの戦い、体重コントロール。
怪我が少ないと言われるブラジリアン柔術であっても、格闘技なので常にリスクはあす。より安全で公平な試合となるようにキッズと言えども体重別に細かくカテゴリー分けがされている。試合直前の計量で規定を100グラムでも上回っていたらその時点で失格。試合することは許されずにハイサヨウナラ。子どもが失格となってしまったら親の責任。ものすごく神経を使ってきた。
なにせ成長盛りの小学生。もちろん減量はせずにありのままの体重でエントリーした。その時点では規定よりもマイナス500グラムのカテゴリーなので余裕しゃくしゃくだった。しかし、成長盛りだし、絶対値が小さい子どもなので食事内容ですぐに増減していく。毎日朝、夜と計量していたものの、一週間前の段階ではプラス100グラム~マイナス300グラムの間をいったりきたり。給食のメニューや体育の有無、昼休み、学童の遊び内容でおもしろいくらいに変化する。
大会前日は夕食前に500グラムの余裕があることを確認。それでも、水分の多いメニューやスープ類は控えて念には念を入れる。寝ている間に消化されることもあり、当日の朝の計量はマイナス600グラム。よかった。それでも、家の体重計と会場の体重計に誤差があることを考慮するともう少しだけ神経質でいたい。
朝食はグラム単位で計測して、麦茶と合わせて400グラム接種。これで大丈夫。会場までの移動やトイレに行けば更に下回るので規定を超えることはない。私にできることは全てやった。
厳戒態勢の中での大会開催。
3密コントロールが叫ばれる時代に濃厚接触なスポーツのブラジリアン柔術をやるというのはリスクと常に背中合わせ。コロナ禍での開催だけに安心安全な運営に気をつかっているのが会場では伝わってきた。
入場できるのは、セコンドをするジムのインストラクター、選手、付き添い2名のみ。厳密に管理されており、入場時に全員検温し、氏名及び連絡先を記入。そして試合時間ごとにカテゴリー分けをされており、滞在可能時間がわかるようにそれぞれのカテゴリーごとに色分けされたリストバンドを着用しなくてはならない。会場が密にならないようにしっかりと工夫されていた。試合に負けた人は着替えをしてすぐに退場しなくてはいけないので、仲間の応援もほとんどできない。マスク着用のアナウンスも頻繁に流れており、試合時と表彰台での写真撮影時以外は全員マスク着用。コロナ禍でも正常運営させることに必死な思いは選手側も同じ。みんなルールを守っていた。仲間の応援やレベルの高い試合の観戦ができないのは残念だが今は大会が開催されたことに感謝する時期。状況を見極めながらもスムーズな大会を開催してくれた運営には感謝しかない。
雰囲気にのまれる私と冷静なナツオ。
そんな厳戒態勢なこともあり、今回は試合直前に会場入りして、そのまますぐに試合となる。つまり、アップする時間も場所もない。入場したらすぐにコンバッチ!(ブラジリアン柔術の試合開始の合図)。
久々の大会の雰囲気に応援とは言え緊張していた私だがナツオは我が息子ながらとても冷静。そわそわすることなく自分の順番を待っている。会場内の体重計でチェックした結果、規定にはだいぶ余裕があったので、水筒やウィダーインゼリー、お菓子等をすすめるが水を一口飲んだだけで何も欲しない。自分のやるべきことや試合の流れを冷静にインストラクターに確認している。私は完全に蚊帳の外。息子よ、成長したな。
いよいよナツオの名前が呼ばれる。計量と道着のチェック。体重コントロールをしっかりとやったおかげで、最終計量は規定マイナス600グラム。だいぶ余裕を持つことができた。私にできることはナツオを笑顔で送り出すことくらい。マットにあがったら自信をもって闘ってもらうだけだ。
冷静沈着な柔術で試合を完全にコントロール。
ナツオはトーナメントを3回勝てば優勝。緊張していいる私をしり目に落ち着いた試合運びで勝ち上がっていった。なんだろう。ただただ見入ってしまった。私の好きな力で圧倒するのではなく、技術でコントロールする柔術。見ていて楽しい。
ナツオの関係者はセコンドについているインストラクターと私だけ。その為に常に応援者は私ひとり。対戦相手によっては同時間に開催されているジム仲間、関係者が多数応援していたのでナツオにとってはアウェイな雰囲気。それでも終始安定していたので私は声を発することなく見入っていた。(今思えば、「いけー、がんばれー」とか「いいぞー、よくやった」とか声かけてあげればよかったと反省。)
一回戦 2-0ポイント勝利!
初戦は固くなるかと思いきや、開始と同時にポイント獲得。終始試合をコントロールしていたので見ていて安心できた。ナツオが攻め続けるも相手も強く、渋い攻防をしているうちに時間が経過。先制ポイントを守りきっての勝利!
準決勝 腕十字で秒殺!
対戦相手は一回戦で延長までもつれこんでの大熱戦を制して勝ち上がってきた相手。観戦していたが、レベルの高い攻防だったし、それを勝ち切って勢いにのっているので、正直厳しいかなと覚悟していた。しかし、これまた試合早々にナツオが引き込み、下からの腕十字を見事にきめての一本勝ち!
華麗で鮮やかな試合展開。大舞台でこんなにも鮮やかにきめるなんてと感動。
決勝 6-4ポイント勝利!日本一!
迎えた決勝戦。相手は有名な某強豪ジム。キッズだけでも多数の選手が大会に参加しているだけに、対戦相手の関係者がマット周辺に勢ぞろいし、声援をおくる。
しかし、やはり冷静なナツオ。決勝でも先制でポイント獲得。ただし、相手も決勝まで圧勝で勝ち上がってきた強豪。息詰まる攻防が続く。それでも冷静にポイントを重ねて4-0。これはいける!と思った瞬間にバックを取られて4ポイント取られてしまう(4-4)。しかも、相手にとって非常に有利なバックポジション。じわじわと首を締めあげいてく。これは厳しい。レフリーストップによる一本負けも覚悟していたが、そこから鮮やかにエスケープ。よし、このまま延長までもつれこみ、仕切り直しだ、と思っていたら、そこからナツオが攻めて2ポイント獲得!終了際の相手の捨て身の攻撃も落ち着いてコントロールしてタイムアップ!
ナツオの勝利!日本一!
見ごたえのある熱戦だったがナツオは全てに落ち着いていた。なんでこんなことができる?ってくらいに相手をコントロールしていた。
一本取られるかもと思っていたことを伝えると「(ジムで一緒に練習している)●●の方がはるかに強いから余裕だった。冷静にエスケープのタイミングを狙っていた。」とインストラクターを喜ばせる模範解答。強いジム仲間に恵まれているおかげで見事優勝することができた。本当にインストラクターの先生、ジム仲間のおかげです。
おわりに。
試合では冷静だったナツオだが人生初めての金メダルには大喜び。前回は銀メダルでも喜んでいたが、心の底では金メダルが欲しかったのだろう。しんちゃんだったら狂喜乱舞間違いなしのプレゼンターの美女から金メダルをかけてもらい、緊張しつつも嬉しそうな表情。そのまま金メダルをつけて電車に乗ろうとしちゃうくらい。
所属ジムからは参加者が少なかったこともあり、ジムは通常運営。試合があったのでまっすぐ帰ろうかと思ったが、ナツオはみんなに見てもらいたいとのことで金メダルをかけたままジムに凱旋。みんなに祝福してもらって本当に嬉しそうだった。
白帯カテゴリーかつ、年代別、体重別なのでまだまだ上には上がいるものの、そのカテゴリーでの日本一に偽りはない。3回勝っての優勝だから価値はある。ナツオの人生にとってはまだまだ序章だろうが、「日本一になったことがある」というのは絶対に自信につながるはず。ナツオはきっと人生の中でこれから幾度かの挫折を味わうだろうが、「俺、日本一になったんだよな」というのが心の糧になってきっと乗り越えられると信じている。
ニッポンイチおめでとう!