行政書士法人からの手紙で祖母の死を知るとは…。
帰宅すると一通の書留が机の上に。
差出人は某行政書士法人。
まったく身に覚えがないものの、私宛の手紙に間違いはない。
何か事件に巻き込まれてしまったのか、それとも事件への招待状なのかと不思議に思いながら封を開けると、それはこれから始まるであろう全面戦争への赤紙であった。
手紙のタイトルは、「遺言執行者就任のご通知」。
拝啓から続く本文は、「この度は●●××様(祖母の氏名)のご逝去の報に接し、うんぬんかんぬん。」
もう目が点である。
えっ?
遺言?ご逝去?
いつの間におばあちゃん亡くなったの?
もうただただ驚くばかり。
まさかこんな形で祖母の死を知るなんて。
しかも、書類をよくよく読んでいくと亡くなった日は書かかれていないものの、遺産の残高証明書から推測すると5月上旬。
もう2ヶ月も前である。
いつの間にか亡くなり、日程的に四十九日も終わっているよう。
まじか。
まじかよ、おばあちゃん。
最期に会ったのはもう2年前。
父(祖母にとっての息子)の葬儀以来である。
それ以後は伯母の意向で四十九日にも参加せず、お正月に訪ねるも会わせてもらえず、電話もつながらず、レンタの出生報告の手紙を郵送するも何の音沙汰もなしであった。
父と伯母はたいそう仲が悪く、昔から喧嘩ばかりであった。
主な原因は父が何かと用をつけては祖母から小遣いをせびっていたので、面白くなかったよう。
祖母は昭和一ケタ世代の女性らしく、炊事、洗濯、掃除以外は何もできず、ATMさえ使えないくらい。
そこにつけこんだ父が何かと理由をつけてはお金をおろしては遊ぶ金に使っていた。
私よりも若い愛人と海外に行ったり、パチンコに使ったり。
我が父ながら愚の骨頂である。
そんな父も亡くなり、たまりにたまっていた鬱憤なのか、父の息子である私と弟に姉弟喧嘩の矛先がやってきてしまった。
祖母を囲いこみ、祖母の家にいっても会わせてもらえず。
そしていつの間にか祖母の家は建て壊されていた。
伯母さんには電話をしてもつながらず、本当に所在不明となっていた。
音信不通状態である。
どうせ伯母さんと同居かその近くの老人ホームにでもいるのだろうと思っていた。
間もなく父の三回忌であるし、そのタイミングでまた連絡とるつもりだったらこんな展開である。
まったく実に迷惑な話である。
私にとっては良くしてもらったおばあちゃんである。
私が10歳の時に父が他に女をつくって家を出ていたこともあり、祖母は私達兄弟にはとても優しかった。
申し訳ないという気持ちが強いのだろう。
母と弟と三人で遊びにいくと食べきれないくらいのご馳走の数々であった。
海老フライにぶりの照り焼き、カニにステーキにと、魚も肉もなんでもありのスーパーなご馳走であった。
毎回が盆と正月である。
ナツオの誕生を心の底から喜んでくれ、部屋中に写真を飾ってくれていたものである。
そんな祖母ももういないらしい。
私には届いていないが、「ご逝去の報」があったらしい、行政書士法人曰く。
レンタを会わせることも、お見舞いにいくことも、葬儀に行くことも何もできなかった。
なんとも言えない寂しさがある。
さて、同封されていた遺言公正証書正本のコピーを読むと、亡き父の代わりとなる私と弟の相続は財産の10分の1らしい。
残りの全ては伯母さんに相続させるらしい。
数十万円の相続ではあるが、逆算すると遺留分に該当する額のようである。
「10分の1」という表記に一瞬驚いたが、すぐに思いだした。
祖父が亡くなってすぐに祖母が書いたというか、父がそそのかしたのであろう祖母の遺言書には全く逆のことが書いてあったのである。
父の遺品整理の際にその遺言書のコピーを見つけて、がめつい父らしいなと思っていたがそっくりそのままこっちに返ってきた。
きょうだいで同じ血が流れているようである。
世代を越えた因果応報ってやつだろうか。
私も弟も何も悪い事していないってのに。
さらに遺言書をよく読むと祖父と父が一緒に眠っている墓地の使用権も伯母が相続するもよう。
伯母のことだから墓からも出て行けって言ってくるだろう。
色々と考えただけでうんざりしてくる。
三回忌を前にして新たな墓地探しが始まりそうな予感。
悲しみに浸る暇もない。
というか、実感が全くわかない。
世代を越えたきょうだい喧嘩というか、全面戦争が始まるのか…。
とりあえず人事部にいって慶弔金の申請をしないと。
「すいません。いつの間にか祖母が亡くなっていたんですが…。」
どこまで信じてもらえるだろうか。
まったく考えることが多すぎて眠れないじゃないか。
ご注意。
お読みなって暗い気持ちにさせてしまったら申し訳ありません。
公開している以上、全てはブログネタですので優しい御心遣いやご配慮は不要です。
この人なんだか大変なことに巻き込まれてるな~。
渡る世間は鬼ばかりだな~。
ラーメン食べたくなってきちゃったよ。
と思いながら読み飛ばしていただけると幸いです。