オフィシャルな育休宣言をしてもうどれくらい経つのだろう。
上司に伝えたのが3月下旬。
人事部に伝えたのが5月上旬。
人事部に伝えた時に育休申請にあたっての書類を受け取ったのだが、なかなか育休期間が書けず、したがって提出できずじまいであった。
会社の要員戦略や育休中の給付金等にも関わってくる、正式な書類。
口頭では、「9月1日から4月の慣らし保育が終わるまで」と伝えていたが、書類に落とし込むとそれが正式な期間となる。
上司にはナツオ@4歳の経験から「4月16日の復職予定です。」と伝えていたが、人事部に相談すると、人事部での実績を踏まえて、「子どもにより保育園との相性はそれぞれ、連絡をくれれば短縮も可能なので申請上は想定の最大限にして欲しい。」と言われる。
なるほど、統計学が最強の学問である。
自分の経験などしょせんは主観的な判断。
最強の学問と称された統計学の前では無に等しい。
それに人事担当者はお子さん3人がいらっしゃるベテランママさん。
最高の経験と最強のデータに裏付けされており説得力がある。
そうして、鉛筆で書き方例として「2018年4月30日」と記入された申請書を渡された。
そして制度上は取得日の1ヶ月前までに提出してもらえればいいが、早ければ早いほど会社としては要員配置等に着手できるのでありがたいと言われる。
妻に相談すると、「会社がそう言っているのならばその通りにすれば。」とあっさり言われる。
さすがはドライな妻。
私のもんもんとする気持ちが理解されない。
ならばとさっさと書いて6月1日に出そうとするものの、どうしても終了日だけが書けない。
それ以外はボールペンで記入しており、あとは本当に終了日だけ。
もやもや感の正体は後ろめたさというか、申し訳なさ。
4月16日も4月30日もまったく変わらないと誰もが思うだろうし、実際そうであろう。
ただ、実務経験が長いだけにこの2週間の違いがよくわかる。
4月1日に復職すれば決算関連の仕事に着手できる。
4月16日に復職すれば決算関連の分析作業、レポート作成作業に着手できる。
4月30日の復職だとせいぜい資料の手直し程度。
育休宣言した時に「4月16日に復職予定です。」と言っていた手前、快く承諾してくれた上司にどことなく申し訳ない。
宣言時に少しでも渋られたら、「上等だ!めいっぱい休んでやる!」とさっさと記入できたのに。
やはり人を動かすのは北風ではなく太陽なのである。
しかし、このままずるずると引き延ばすのが一番良くないだろう。
小心者の私には行動するにあたって大儀が必要である。
慣らし保育園を終えても、すぐに発熱やら何やらで呼び出しがあるはず。
せっかく復職をしても呼び出し攻撃の連続を受けると、任された仕事に迷惑がかかってしまう。
かといって、保育園の呼び出しを無視するわけにもいかないし。
そうなると誰も悪くないのに、みんなが不幸になってしまう。
なので、「申し訳ない気持ち」はいったん外に置いておこう。
修羅だ、私は修羅と化すのだ。
我ながら面倒くさいがそう思いこんでようやく決心がつく。
そしてようやく、ようやく、昨日の残業時に上司に相談することができた。
人事からの証言と物的証拠として、人事部による鉛筆書きの「30日」が書かれた書類を見せながら。
当然ながら、上司はオトナである。
大人げない奴が人の上に立てるわけがないのである。
私の申し訳なさそうな心情も理解してくださり、あっさりと「大丈夫。」の一言。
実務的な面ではやはり痛いのは痛いが、正直、今更2週間の変更は大したことではないし、部署にとっても底上げをはかるチャンスだと言ってくれる。
その言葉に救われた。
逆の立場でもそう言うだろうが、大事なのは何を言うかよりもどう言うかである。
単純な私は、その恩に報いる為にも、9月までの2ヶ月弱の間に最高のマニュアルをつくってやるぜ!とギタる、いや、心がタギりだしている。
しかしこれでようやく申請書が完成。
あとは提出するだけとなった。
はたから見れば、「権利なんだし、悪いことでもないんだし、さっさと書けばいいのに」ってな話であろう。
いつだって冷静な妻は「だからさっさと書けばよかったのに」の一言である。
確かに1ヶ月は長すぎた。
ただ、これはこれでいい経験ではあった。
かっこよく言えばこれも産みの苦しみなのだ。
知に働けば角が立つ、情に棹させば流される。
さて、冷静と情熱の間に生まれた息子2人はどんな風に成長していくのだろう。
いいとこ取りで、Cool Head but Warm Heartな人間になってくれればいいんだが。