柔術ほどがっつりとした趣味ではないが、私が密かにはまっているのがボルダリング。近所にボルダリングのジムができたこともあり、パパ友とたまに通っていた。
ボルダリングは柔術同様に非常にロジカルなスポーツであり、筋肉も持久力も衰え始めた松阪世代でも十分に楽しめる。それに昨年よりも14kg減したことと柔術&筋トレ効果で筋肉がついてきたので明らかに動きが軽くなってきたのでより楽しめるようになった。ジムは室内なのでエアコンが効いており汗だくになることもないので気軽に楽しめる。それにパパ友と一緒ならばお互いの家庭の理解も得やすいので出掛けやすくだんだんはまりつつある。
そんなボルダリングだがオリンピック種目になった効果なのか、最近はよく公園や屋内施設でよく見かけるようになってきた。夏旅行である鬼怒川旅行の最中にでかけた壬生町おもちゃ博物館内にも遊具の一つとして設置されていたのでナツオにやらせたところ、楽しそうにスルスルと成功していた。本人は「柔術にくらべたら簡単だよ」とあっけらかんとしていたが、親バカな私。
「これはもしや新しい才能が開花した瞬間?」とバカなことが頭がよぎる。
そんな話をボルダリングをしながらパパ友にしたところ、アクティブなパパ友は「子どもと一緒のスポーツ」に憧れていたらしく私以上に乗り気になってきた。
ジムに相談すると原則は小学生以上であるものの、日常的に運動している子どもでかつ親が一緒ならば年長からOKと承諾してもらった。これはもうやるっきゃない。
「次回は子連れでやりましょう!」がパパ友との別れの挨拶となった。
社交辞令で終わらないのがパパ友ネットワークのいいところ。早速お誘いがかかり、ついに子連れでボルダリングへ。ナツオ@6歳の本格的なボルダリングデビューである。
ボルダリングのなにが良いって、ほぼ手ぶらで行けるところ。着替えだけ持っていけばあとはレンタルで済む。必要用具はチョークと専用シューズくらいなので元々用意するものも少ない。動きやすい格好で家から出掛ければそのまま楽しめる。
ナツオは初めてのボルダリングジムにさっそく興奮。色とりどりのホールドに感動している。お友だちがいるせいかちょっと強気で「なんじゃこのキラキラな世界は~!」と叫んでいる。「なんじゃこりゃ」と「キラキラ」の対比が詩的でおもしろい。
幸いにも行った時間は他に誰もおらず、私たちだけ。だからスタッフの方が子どもについてとっても丁寧に指導してくれた。つまり、私とパパ友は子どもそっちのけでフリー。子どもそっちのけで存分に楽しめる。が、ここでまさかの展開。パパ友の娘ちゃんはボルダリングの高さにびびってしまい、参加しないことに。ちょっと残念なパパさん。自分の合間合間に娘さんの相手をしなくてはいけなくなってしまった。せっかく親子で共通の趣味ができるかもしれなかったのに。
お友だちリタイアでもテンションMAXなナツオはうざいくらいに元気いっぱい。スタッフから「まずは準備体操から。ラジオ体操でからだをほぐしておいて。」と言われると、「音楽ないからラジオ体操できませ~ん。それに午前中におとーさんとがっつり柔術やってきたからいつでも動けるよ。」と生意気なこと言っている。娘ちゃんと一緒にリタイアされたらどうしようかと思ったがとりあえず心配はなさそうでよかった。
準備運動を終え、注意事項を聞いたらいよいよボルダリングデビュー。ボルダリングは安全だが落下時の事故といった危険とも隣り合わせのスポーツ。スタッフの真剣な表情にナツオもふざけることなくちゃんとお話を聞いていた。
柔術のおかげで受け身はマスターしているので落下した時の事故は心配していなかったが、スタッフは常に後ろについていてくれる。後ろからホールドを指示し、手や足の動かし方をレクチャー。そして自分の背丈を越える高さまでいくと腰を支えて安全に配慮してくれる。これならば安心して任せられる。自分の競技に集中できる。
「子どもが見ている」というのはこんなにも力になるのか。ナツオがちらちら見ては応援してくれるのでついつい無茶してしまう。いつもならば諦めるところでも「おとーさん、がんばれー!」なんて言われたらがんばるっきゃない。「せいやっ!」と普段は出さない声まで出してはりきってしまう。男はいくつになっても単純バカだ。
私のやっている姿に影響を受けてナツオも頑張る。ポジティブな連鎖。入門コースはあっさりと終了して大人と同じ初心者コースへ。スタッフと一緒だから安心して見ていられるが、相当高いところまで上っていく。お友だちが見ていることもあり、決して弱音は吐かないナツオ。かっこいいぞ。 色とりどりのホールドがバックなので写真も映える。
あっという間に1時間が終了。最後までほぼ貸しきり状態だったので安心して楽しめた。1時間で終了ってのもちょうどよいシステム。精神的にはまだまだできるが、私の筋肉的には1時間が限界。背筋や全身の筋肉を利用すれば腕力や握力はそこまで駆使しないらしいのだが、まだまだ初級者な私はどうしても握力と腕に頼ってしまう。おかげで1時間もやればもう腕がパンパン。やりたくでもできやしない。
私もナツオもいい感じで疲れた。もう少しやりたいけれどできない状況。いい感じで次へのモチベーションが高まる。
ナツオは「もっとやりたい。またやりたい。今度は○○くんや●●くんも連れて一緒にやりたい!」と興奮しながら帰宅。初めてのボルダリングは大成功だった。
パパ友は娘ちゃんとの共演はもう諦めたようで、「今度は娘ちゃんパパと、なっちゃんとなっちゃんとーちゃんで行こーぜ!」と声をかけていた。
一時間@1,000円なので親子で2,000円。子どもの面倒を見てもらいつつトレーニングに行ったと思えば安いものか。健康的な趣味だから家庭の理解も得やすいし、そもそもナツオのとっても楽しそうな表情が見られればそれで十分。つくづく子どもは才能と好奇心の塊なのだと実感。どこで才能が目覚めるかわからない。私もナツオと一緒ならばいつにもまして無茶できそうな気がする。
あまりにも無茶しすぎたのだろう。普段は翌日にはケロッとしているのに、私の両腕は翌日もパンパン。パソコン打つのも休み休みで同僚から「なにやってるんですか?」とつっこまれるほど。久々の筋肉痛に苦しみながらもまだまだ使っていない筋肉、鍛えていない筋肉があるのだという嬉しい発見に喜ぶ。ナツオの為にももっとがんばらないと。ナツオにはポスト東京オリンピックを目指してもっと頑張ってもらわないと。