「とうちゃんは、ばーちゃん好きじゃないの?」
ドキッとする一言で一瞬で凍る車内。
子どもは本当によくみている。
飛行機酔いからすっかりスッキリ復活したナツオ。
空港内のレンタカー受付で手続きをすませていよいよ香川巡り本番。
沖縄や北海道とちがって落ち着いている香川。
人がレンタカー場までのシャトルバスに合わせるのではなく、
シャトルバスがこちらに合わせてくれる。
というか、朝イチでやってくる観光客は我々4人のみ。
親切丁寧に車の説明を受けて、
いざ、さぬきうどん!
もちろん、チャイルドシートも完備。
しかし、思わぬトラブル発生。
ただでさえチャイルドシート嫌いのナツオ。
製品が違うからか猛烈に嫌がる。
ナツオの隣に義母が乗ろうとしたら全身で拒否。
妻を求める赤ちゃんナツオ。
そんなわけで、結局、妻が後部座席に。
つまり、義母が助手席に。
なんとなくドキドキなイクオ。
改めて助手席となると、少し緊張する。
そして、ドライブスタート。
すぐに煮詰まる二人。
妻は後部座席でガイドブックに夢中。
「雨は持ちそうですね~。」
「うどん楽しみですね~。」
「道すいていますね~。」
こんな会話すぐに終わる。
そして、運転とラジオに集中して無口になる。
そんな時にナツオが発したのが冒頭の言葉。
前の二人がそろって無口なのが不思議なのだろう。
好き→お話をする
嫌い→何も話さない
というまっすぐなロジックのナツオ。
まっすぐな目で見つめてくる。
妻も義母も苦笑。
「そんなことないよ、大好きだよ。」
と言おうとしたが、
【大好き】という言葉がどうしても言えない。
なぜか恥ずかしくなる。
何を意識しているんだ、俺。
根っからの日本人気質が嫌になる。
ただし、そんなナツオのおかげで、
車内の空気が少しだけゆるむ。
ここまで計算した上での言動だとしたら?
ナツオには天性の才能が備わっているのかもしれない。