首も座ってきたので、ようやくナツオを母の元に連れて行けるようになった。
車で向かうこと90分弱。
イクオの故郷、厚木へ到着。
そしてそのまま母の入居している老健施設へ。
高次脳機能障害の為にもう何年も施設暮らしの母親。
体調は良好なものの、認知能力が弱く会話はかみ合わない。
しかし、そんな母でも孫は嬉しいらしく、
枕元に飾ってある写真を見てはいつもニコニコしているらしい。
孫の力で奇跡が起きないかなと密かに期待しつつお見舞いへ。
基本的には老人ばかりの施設。
ナツオが施設内に入った瞬間にみんながにっこり。
「赤ちゃんだ!」
「かわいいねぇ~。」
もうアイドル状態。
そんな声をかきわけて母の元へ。
ようやく母に初孫を会わせられた。
ナツオを見たとたんににっこり笑顔の母。
「ナツオちゃん」と言いながら手を差し伸ばしてくる。
力が弱っているので恐る恐るであったが抱っこさせると、
もう満面の笑み。
ニコニコしながら名前を呼びかけている。
ばんざいするだけでも痛がるのに、
どこにこんな力が!と思わせるくらいにしっかりと抱きしめている。
これは理屈ではなくて孫の力なのか?
そして、もう帰ると告げると、
「またね~」とささやいている。
これには一同びっくり。
と言うのも、受け答えはできるものの、
なかなか自分から言葉を発してくれない母。
そんな母が自分から言葉をかけている!
こんなにも力強い声を聴いたのは何年ぶりだろう。
ナツオが引き出してくれた。
これに便乗して、
「ナツオを抱っこする為にもしっかりと運動しないと駄目だよ。」
「まだ赤ちゃんだから大きな声で話しかけないとわからないよ。」
と言うと、
「うん、うん。」と頷いている。
きっとまだまだ引き出せるはず。
ナツオとたくさん会わせないと、
ナツオの力でもっともっと奇跡を見せてもらわないと!