ゴールデンウィークを利用してレンタ2ヶ月を母の元へ連れて行った。
特養に入居中の母。
高次脳機能障害を煩っており、認知能力が弱い。
そんな母に少しでも刺激をと思い家族4人でお出かけ。
特養という性質上しかたないのかもしれないが、立地は山の方。
丹沢を望む場所に母の入居施設はある。
繁華街を抜けていくと一気に畑と山。
それでも実家から車で15分の距離。
ナツオにとっては景色の移り変わりが新鮮なようで興奮している。
「またキャンプ行くの?お見舞じゃなかったの?」
と新緑を眺めては喜んでいる。
小さい頃によく母と弟と犬を連れて遊びに出かけた公園の近く。
とても懐かしい。
これはこれで帰ってきた感がわき上がってくる。
やっぱり緑が見えない生活はおかしいだろ。
なんなんだよ、東京。
と妻に聞こえない範囲でつぶやいているうちに施設に到着。
そして感動のご対面となる。
まずはナツオとの交流。
不思議なもので朝に何を食べたかは覚えていないのに、孫のことはよく覚えている。
「なっちゃん、大きくなったね~。」
とニコニコしている母。
ここだけ切り取ったらどこにでもある祖母と孫の光景。
このまま切り取れたらどんなにいいだろう。
ナツオにたくさん語りかける母。
気がつけばナツオ4歳の方が母を越えていた。
気を使って祖母との会話に付き合うナツオ。
母は64歳なので施設内では圧倒的に若く、いつもポツンとしているとのこと。
会話に飢えているのだろう。
ナツオに熱心に語りかけている。
ナツオは色々と母に付き合い、首をかしげる母に得意げに教えたりしている。
息子の成長がなんとなく嬉しくて、母の老いていく姿がどことなく哀しくてなんだか泣きそうになってくる。
ナツオとの交流が一通り終わったタイミングでレンタくんの登場。
手を添えながら母にレンタを抱かせる。
そうしたらもうびっくり!
抱いた瞬間に表情が一気に変わる。
パーッと明るくなる。
明るいというよりかは慈愛に満ちているといった方がしっくりくるか。
細くなった手でしっかりと赤ちゃんを抱きしめる母。
大げさかもしれないが、後光が差しているかのような明るい顔。
菩薩様のようにやわらかく、愛にあふれている。
これには妻もびっくり。
ここまで変わるのか?ってなくらいの豹変ぶり。
レンタも優しい表情で母をじっと見ている。
なんだろう。
やっぱり母性ってあるんだな。
ああ、お母さんってこんな顔してた。
見つめ合う母とレンタを懐かしい思いで見つめる私。
年を取ると涙もろくなるから嫌だ。
この光景に慣れる為にも頑張ってレンタをちょくちょく連れてこようと思うのだった。
それにしても赤ちゃんの力はすごい。