ナツオ@4歳から頭をぐゎーんと殴られたような説教を受け、泣いてしまった。
94歳の祖母が腰痛をこじらせて入院したということでレンタ@4ヶ月の顔見せをかねてお見舞いにいってきた。
94歳とは言え、いまだ現役で商売をしている祖母。
最近こそおばさん達が手伝いに来ているが、基本的には一人でお店を切り盛りしていた。
お菓子屋さんを営んでいるのだが、子どもを筆頭にしたお客さんと話すこと、お金の計算をしていることで、頭も体も元気である。
しかし、そんな祖母だが腰痛が悪化してベッドから起きあがれなくなり、やむなく入院することに。
痛いのは腰だけであり、上半身は元気いっぱいである。
ただ、なんだかんだ言ってももう94歳。
入院を機に寝たきりになる可能性も低くはない。
まだレンタの顔を見せてなかったこともあり、お見舞いに行ってきた。
病室に行くとやっぱり元気な祖母。
退屈でしかたなかったのだろう。
よくしゃべる。
「申し訳ないね。」を連発しながらも、「イクオくんは最近は忙しいのかい?ちゃんとご飯食べているかい?」とひたすらしゃべり通す。
あげくのはてには、妻に向かって、「相変わらず忙しいのかい?徐々に復帰しているんだって?バリバリやってたくさんもらってるんでしょ?いくらもらっているんだい?」と失礼極まりないことまで聞いてくる始末。
まあこれだけ元気ならば大丈夫だろ。
そんな祖母もレンタを見ると顔をほころばせてしっかりと抱きしめる。
これは女性に備わったDNAなんだろうなと納得するくらいの表情と力強さで赤ちゃんを抱き締める。
それに応えるレンタ。
2人で見つめ合っている。
そしてやっぱり、祖母も母親。
娘である私の母のことをいつも気にかけている。
「私のところは別にいいからお母さんのところに行ってやりな。」
それを合図に今度は母の入居している特養へ。
私とナツオは月に一度は来ているのでだんだんと慣れてきたよう。
特養に入るなり、「こんにちは~。」と大声で挨拶。
というよりも、ここの施設のスタッフの方が全員明るい挨拶をしてくれるのでそれを真似しているよう。
挨拶って本当に大事だなと実感する。
特養は年配の方たちがたくさん入居されていることもあり、
かつ普段の生活では刺激も少ない事もあり、すぐに囲まれるナツオ。
照れくさそうに受け流して母の部屋へ。
まるで大物大衆役者のような風格で移動していく。
やっぱり母も母親。
ナツオを見るなり表情が代わり、そしてレンタを見るともっと変わる。
ナツオやレンタにたくさん話しかけ、どこにそんな力が!ってな強さでレンタを車イスの上で抱えあげる。
母の部屋で妻が授乳している様子を嬉しそうに愛おしそうに眺めている。
せっかく見舞いに来たので母と会話をしようとするのだが、雑誌を読んだりチラシを読んだりでなかなか会話にならない。
会話をしようとしても「わかんない」連発される。
「朝ごはんは何食べたの?」
「わかんない」
「どこかお出かけしてみたいところある?」
「わかんない」
終始こんな感じ。
高次脳機能障害を患っており、病気だからしかたがないのだが、ついついイライラしてしまう。
「せっかく、ナツオやレンタも来たんだし、もう少し会話しようとしなよ。わかんないばっかじゃわかんないよ。」
と嫌味なことを言ってしまう駄目な私。
「だって、わかんないだもん。」と困惑顔の母。
なんとかなって欲しいという願望とこの現実に更にイライラしてしまう私。
「ナツオも怒れ!ばーちゃん、ちゃんとお話しなさい!って言っちゃえ。」
大人げなさすぎる私。
しかし、そんな私を諭すナツオ@4歳。
「怒れないよ。だって、おとーさんをここまで育ててくれたんじゃん。怒っちゃダメだよ。」
なんだこの眩しい光は。
ナツオが眩しくて見られない。
全てが浄化されていくよう。
私の中の邪念を洗い流して行く。
俺の母はこんなんじゃない!という思いが強すぎてついついイライラしてしまったが、ナツオの真理をつく一言の前にはぐうの音も出ない。
「育ててもらった」という当たり前すぎる偉大な恩を忘れてしまっていた。
親となったのになんて情けない。
息子はどこで「育ててもらったでしょ」なんてことを学んだのだろうか。
そのような思いを持ってくれていることにとても感動してしまい、こっそりと泣いてしまった。
子育てがんばろうって気にさせてくれる一言であった。
まさか4歳児に説教されるとは。
それにしてもあの時のナツオの顔から溢れる光の射し方はタダものではなかった。
キン肉星の王位にのみ継承されるフェイスフラッシュではなかろうかってなくらいの眩しさ。
全てを浄化させるあの光を母にも浴びせていれば脳機能も回復していたのかな。