「父とナツオ」シリーズもこれで一段落。
結局、ナツオにとって「死」とはどういうことなのだろうか。
初めて対面した時は絶対的な恐怖に襲われていた。
焼香する為に、ナツオに見せる為に顔を覆う布を外そうとすると
全速力で部屋を出ていくナツオ。
本能で「死=ケガレ」を認識しているのだろうか。
文化人類学の本ばかり読んでいる私からすると、
この反応はとても興味深い。
最初は全身で死体を拒絶したナツオだったが、
一晩経つと落ち着いたようで納棺の際には一緒に真剣に見ていた。
出棺前の花入れ等には自ら進んで花をもらいにいっては、
父にたくさんお花を入れてくれる。
しかし、火葬後にまた全身で拒絶。
火葬前までは普通であったが、
いざお骨が出てくるともう大泣き。
大泣きどころか、嘔吐する始末。
初めてのお骨ということ、あまりにも突然の変わりように頭が働いていない様子。
喪主を務めていた手前、私は外出できなかったので
妻にお願いしたが、外でしばらく呆然としていたとのこと。
「死」というのは本能で拒絶するものなのだろうか。
その後は子どもらしい質問攻めの始まり。
「じーちゃんはどうなったの?どこにいったの?なんで骨になったの?」等々。
ナツオへの公式回答は
「じーちゃんは死んで、キラキラ星になりました。お星様になってナツオを見守っています。
悪いことはした時は注意しに出てくるし、ナツオが困った時は助けに来てくれます。」
というもの。
完全には納得していないものの、一応納得はしてくれたもよう。
また、死んで骨になるのを極端に恐れているナツオ。
「手をつながないと車にぶつかって骨になっちゃうよ!」
と注意するときちんと手をつないでくれる。
以前よりも聞きわけがついてきた。
父よ、あなたの死は無駄にはしません。