炎天下の中無事に運動会終了。
昨日も朝7時に起きてはフラフープに精を出す。
気分は甲子園の決勝当日の朝。
いや、試合当日もシュート練習に精を出す桜木花道か。
私も最後の最後まで調整に明け暮れる。
一通りのアップを終えて汗ばんだタイミングでナツオを起こす。
「さあいこーか。」(仙台風に)
頭の中ではもちろんBAADの「君が好きだと叫びたい」が流れている。
保育園の運動会は8時45分集合に対して開門は8時40分。
近くの小学校を間借りしていることもあり会場はだだっぴろい。
最前列を狙わなければどこからでも勇姿を眺められる。
朝からパパさんが並んで…なんて世界とはいえ無縁でありがたい。
運動会が始まっても親同士が仲が良いので、子どもをあずけては観戦そっちのけでくっちゃべっている。
話題の中心はやはり親子企画について。
「Y字バランス」「フラフープ」「V字腹筋」のどれをやるか?
否、そもそもなんで親が辱めを受けなくてはいけないんだ!
とブーブー言いながらの観戦。
他の学年の企画を見ていると親子企画として「親子一緒」に何かをやることはあっても、親が単独で何かをやっているところはない。
ここでようやく気がつく。
我々は騙されているんじゃないかと。
なぜに我々だけ?
世が世ならば一揆が起こってもおかしくないくらいにたまっていく不満。
他の学年は子どもがやっている間は親は待機。
そして、子どもが合流してから一緒に走ったり踊ったり。
それに対して我々の学年は子どもが平均台等に挑戦している間に親は「Y字バランス」「フラフープ」「V字腹筋」のどれかをしながら待機。
やはりおかしい。
ただ思い当たる節はある。
我々の脳裏には苦い過去が浮かんできた。
それは二年前の発表会。
その時に我々は逆発表会という形で寸劇をやらされている。
もしかしたら、その時の我々の反応を見て、
「この学年ならば無茶ぶりしてもおもしろおかしくやってくれるんじゃないか?」
と先生達が思ったのではないか。
運動会の息抜きとして、見世物として盛り上げてくれるのではないか、と。
喜ばせ組になれということか。
↓その発表会のお話↓
だとしたら許せない。
しかし、子どもを人質にとられている身。
今さらどうしようもない。
権力に従うのみ。
いよいよの出番が近づいてくると、今度は親同士のけん制が始まる。
そう、テスト前、またはマラソン大会前のあれである。
「○○さんは何やりますか?きっと上手なんでしょうね。」
「V字腹筋の練習してたんじゃないですか?私なんてただの見世物ですよ。」
なんてやり取り。
小心者の私なので、まさかこっそりとフラフープを購入して練習していたなんて言えない。
私もみなさんに合わせて、
「まったく、どうしましょうかね。フラフープで腰でも回してみんなに笑われてきますよ。」
なんてごまかすのみ。
言えない。
寝る間を惜しんでフラフープの特訓していたなんて。
その為にユーチューブの再生回数増に貢献していたなんて。
今朝も朝から1時間弱もフラフープやっていたなんて。
そして迎えた本番。
よーいドンの合図の後にナツオは平均台、私はフラフープゾーンへ。
見よ!
特訓の成果。
練習通りに回るフラフープ。
どよめく(ように聞こえたのは私だけ)歓声。
爆笑する他のパパママ。
見事にやりきった。
やったよ、俺。
しかし、所詮は子どもが障害物を乗り越えるまでの間。
帰宅して確認したらわずか20秒弱であった。
この20秒の為にどれだけのお金と時間を費やしたことか。
だが後悔はない。
ナツオが勝ち誇った顔で駆け付けてきてくれたから。
結局、フラフープに挑戦して成功したのはたった2人。
それだけにナツオはとても嬉しそうである。
しかし、何事も本気で遊ぶことがとても大事。
それは我々パパママもよく理解している。
本気でぶつかるからこそ、そこに笑いと感動が生まれる。
他のパパさんも真剣な表情で「Y字バランス」「フラフープ」「V字腹筋」をそれぞれやりきる。
ヘラヘラやるとしらけるだけ。
いい歳したおっさん、おばさんが真顔でY字とかV字とかできないのにフラフープやるからとても面白い。
だって、顔だけ真剣で誰もできていないんだもん。
きっと、他の学年の親は子ども達を見て感心していただろう。
しかし、我々は子どもなんか見ずにパパママ同士で異常に盛り上がっている。
「○○さん、やりきったね。」
「××さん、いいお腹していましたね。」
と。
誰も子どものことなど見ていやしない。
障害物競走の後はそのままおんぶリレーへ。
ここは私達親子の見せどころ。
柔術の実力が試されるとき。
他の親子がおんぶしている中、我々はおんぶなどしない。
ナツオが胴締めスリーパーホールドを私にかける。
手をロックして私の首をがっちりと掴み、両足をお腹にかける。
つまり、結果として手ぶらでおんぶ状態。
柔術やっているおかげでしっかりとロックがかかっている。
どよめく聴衆と先生達。
だって、ナツオも私も危ないから。
私がオちるのが先か、ナツオが落ちるのが先か。
しかし、ナツオの為にも負けられない。
そしてスタートの合図。
他の親子が両手でおんぶしながら走っていく中、私はてぶらで猛然と駆け抜けていく。
早くナツオを置いて息がしたいから。
結果、ダントツの一位。
チョー気持ちいい。
私史上初めてのかけっこ一位。
嬉しくて嬉しくて先生の合図に合わせて誰よりも高くスキップしながら退場していく。
なんとも言えない充実感。
そして、パパママみんなで記念撮影。
誰もが充実感溢れる表情。
やりきった感で満たされている。
互いが互いの健闘をたたえ合っている。
全員が全員オリンピアン。
そう、ここはTOKYO。
2020年はそこかしこでこんな表情が溢れているはず。
保護者席に戻っても大盛り上がりの我々。
「楽しかったですね。」
「なんだかんだでやりきりましたね。」
「達成感半端ないですよ。」
悔しいが結局は見事に先生の術中にはまっている我々。
課せられたハードルをみんなで乗り越え達成感を味わっている。
これぞチームビルディング。
絶妙な負荷を与えてくる先生のマネジメント能力には舌を巻くしかない。
このままいくと今年の発表会は、来年の運動会はどんなハードルが待っているのだろうか。
ブーブー言いながらもまた盛り上がっていくのだろう。
Yes,we can.