父が余命うんたらかんたら言っていても、
保育園生活に変化はない。
もう季節は秋。
秋と言えば寒くなり、クリスマスも近くなり、
人肌恋しくなる季節。
保育園児とて変わりはない。
ナツオは最近好きな女の子ができたみたいで、
家でも枕を抱きしめながら叫んでいる。
「ゆずちゃ~ん、だいすき~、ぎゅ~」
って言いながら何度も何度も枕を抱きしめ、
気持ち悪いことに「ちゅ~」なんて言いながら枕にちゅっちゅっちゅする始末。
なんだ、この中二病は!
性の早熟化が話題となっていたが、
まさか我が家にもとんでくるとは。
たしか、いぜんまではご近所のさやちゃんが好きだったはず。
「ナツオ、さやちゃんが好きじゃなかったの?さやちゃんはいいの?」
と聞くと、世にも恐ろしい答えが返ってきた。
「いいの!ゆずちゃんが好きなの!
さやちゃんはおうち連れてきて、扇風機の中に指ぎゅってやってやる、
そして、お風呂でおめめの中に石鹸入れてやるんだから!」
怖い、怖いよ、ナツオ。
その痛めつけ方、ちょっとリアルすぎないか?
まるで拷問じゃないか!
まあ、家で枕相手に抱きしめているだけならばいいかと思っていたら、
妻がお迎え時にその瞬間を見てしまったらしい。
みんながお迎えを待って遊んでいる間、
ナツオとゆずちゃんは教室のはじっこでぎゅっと抱き合っていたみたい。
妻いわく、明らかに周りと空気が違っていたとのこと。
早い、早いよ、ナツオ。
赤ちゃんは好きだが、まだまだおじいちゃんにはなりたくないよ。